2005年10月11日

テレビ局揺るがすネットの威力(日経ビジネス10.10号)

 今日は新聞の休刊日なので、日経ビジネスの最新号の中からネット社会に関係のある記事を取り上げることにしました。

 未だ記憶に新しいライブドアとフジテレビのニッポン放送をめぐる騒動で、注目されましたネットと放送の融合ですが、このときの両社の思惑とは別に世の中は既に動き出しているようです。

以下は、日経ビジネス(2005.10.10号)の98ページから101ページの内容を参考にしています。

 10月28日から、インターネットを使った会員制の動画配信サイト「第2日本テレビ」を日本テレビが立ち上げるとのことです。
配信内容は、選りすぐりの世界の短編アニメ・映画それに過去のバラエティーや情報番組など15分以内の番組とのことです。
1番組あたり9〜99円払ってパソコンで視聴するようです。

 今年の4月には、映画、音楽、スポーツ、韓国ドラマなど常時500番組が無料で見放題という動画配信サイトが立ち上がったとのことです。
USENが提供する「ギャオ」です。
ほとんど宣伝もしていないのにわずか5ヶ月で会員数が250万人を突破したそうです。来年の夏に1000万人という目標も難しくない状況のようです。
急速に立ち上がった背景としては光やADSLといったブロードバンド(高速大容量)通信の世帯普及にあるようです。
無料で視聴できる理由は、飛ばすことができないCM(広告)による収入があるからです。面白いことに、視聴者の属性(地域、性別、年代など)が把握できているので、どのような人がどのような番組をどのくらい見ているのかなどのデータが詳細に把握できることです。さらに挿入するCMを視聴者の属性にフィットしたものに差し替えたり、視聴者に販促メールを送信したりすることも可能になるようです。
以上から広告主の評価は高いとのことです。

ポータルサイト運営のソフトバンクもこの夏民放キー局5社に動画配信用の番組提供を依頼したようです。
ソフトバンクは有料のテレビ向けの動画配信、ヤフーはパソコン向け無料配信を手掛けているが、新会社を設立して、民放の番組など豊富なコンテンツを用意し、新たな無料動画ポータルサイトを立ち上げる構想があるようです。
狙うのは広告収入とのことです。

 日本の広告市場はここ10年ほど6兆円足らずでほぼ横ばい、テレビ広告費も2兆円前後で頭打ちとのことです。
対してネット広告費は97年60億円だったのが04年には1800億円を超え、ラジオ広告を上回ったとのことです。
広告主は限られた予算の中でより効果の高い媒体にシフトしているとのことです。


 動画配信ではもう一つ既存の放送を揺るがす動きとして、ネット事業者が進める映像配信(放送に近いといえます)があります。

ソフトバンクがホークス球団を買収したことで、今年からホークス主催の野球試合をネットで中継を始めました。
地上波では地元福岡でしか放映されないのですが、ネットでは多いときには全国21万人のホークスファンがパソコンで視聴しているとのことです。
ここには、地域限定の放送エリアが存在しないことになります。

また今度は、NTTグループのぷららネットワークスがイタリアサッカーリーグ「セリアA]の柳沢選手が所属するメッシーナなど7チームの2シーズン分の放映権を獲得したそうです。
ぷららが始めたテレビ向けの動画有料配信サービスである「4th(フォース)メディア」で生中継するようです。
これは「フレッツ光」の利用者向けのサービスで、フレッツの顧客を確保する狙いが大きいようです。

同様のテレビ向け配信サービスはソフトバンク、KDDIも手掛けています。

 この動きの問題点として放送法では、放送免許は県域ごとに与えられ、民放はキー局が大半の番組を製作し、系列ローカル局の時間枠を買い取って全国放送をしている。
インターネットで番組を流せば全国に行き渡り、ローカル局の存立基盤が揺らぎかねない。さらにネットを通じ無料で流せば、ネットと地上波で自ら広告を奪い合ってしまう。
このことが民放が映像配信に慎重姿勢をとる背景でもある。

 記事から民放の動きとしては、日テレのように番組を作りつつ自らも配信業者となるのか、それとも価値ある番組(コンテンツ)を製作・提供するかに分けられるようです。
めまぐるしく変わる競争環境で、今のところ正解はないといえます。

 総務省が地上デジタル放送の普及促進策としてインターネット網を利用した番組伝送を認めたことで、通信業者への番組伝送の道を開きました。

ネットによる動画配信の主導権争いは、新しい放送秩序を映しだす。

とあり最後には

 5系列で安定した収益基盤に守られてきた民放業界は長く寡占が続いたがゆえに、魅力ある新サービスの開拓や株主価値向上の努力を怠ってきた。技術革新と規制緩和の荒波が押し寄せる中で、その付けを支払うことを迫られている。

と結ばれています。

 配信の方法や配信内容は、放送業界と通信サービス業界だけでなく出版業界などの異業種や個人までもを巻き込んで様々なものが生まれてくるような気がします。

そして、欲しい情報が、欲しいときに、欲しい形で、いつでも、どこでも手に入る時代が近づいているのでしょう。

しかし、その中でも番組の信頼性、公正さ、正確さといった質の良いものに集約されていくような気がします。当然番組の価格はこの質の価値で決まることになるのではないでしょうか。

参考:日本テレビのプレスリリース http://www.ntv.co.jp/info/index.html
   第2日本テレビ http://www.ntv.co.jp/dai2-junbi/dai2.html  
   ソフトバンクホークス http://www.softbankhawks.co.jp/
   ギャオ   http://www.gyao.jp/
   ぷらら   http://www.plala.or.jp/index.shtml




posted by ネット社会の水先案内人 at 22:51| 静岡 ☁| Comment(2) | TrackBack(2) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
面白いので今後も、是非拝見したいと思います。
Posted by 秋鹿 幸敬 at 2005年12月21日 12:52
秋鹿 さん

  コメントありがとうございます。

  好き勝手に書いているので恥ずかしいですが、何かのお役に立てば幸いです。

秋鹿 さんのご意見もお聞かせ願えれば幸いです。

  これからもよろしくお願いします。
Posted by ブログオーナー at 2005年12月21日 20:55
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