2006年09月12日

地上デジタルをネットで配信


 インターネット技術の進歩や映像などの大容量通信が可能なブロードバンド回線の普及に伴い、放送をインターネットで流すことが現実味を帯びてきました。しかし、著作権や放送法などの壁が大きく立ちはだかっており、放送局からネットを利用して、現状のテレビのような方法での放送が進んでいない状況です。そこで総務省が中心になり、地デジの過疎地域への対応を意識しネットでの放送の仕組みを決めたようです。


■地上デジタルをネットで配信――06年末にも開始(日本経済新聞、2006.9.12、1面)

 光ファイバーなど高速インターネットを使ってパソコンなどに地上デジタル放送のテレビ番組を流すネット配信が今年末にも始まる見通しとなった。総務省がNHKやフジテレビジョン、NTTなどと協議会を設け、ネット配信の際に必要な視聴者の認証方法などの統一規格を決めることになったためだ。デジタル放送と高速ネットを組み合わせることで、視聴者は地上デジタル放送の番組を見ながらネットを使ってテレビショッピングなどが簡単に利用できるようになる。

 現在、パソコンで見ることができるのはアナログ放送が中心。専用機器とアンテナがあればデジタル放送も視聴できるが、ネット配信はしていない。ネットを通じた番組配信としては、有線放送大手のUSENが運営する無料動画配信サービス「GyaO(ギャオ)」のようにネットで番組を提供するサービスがあるが、スポーツの録画や映画など見たい番組を選んで視聴する方式。これに対し、ネット配信はまず従来のテレビ番組と同じように放送局が作製した番組を流し、放送波と同じ時間に同じ番組を視聴できる。



 総務省は番組を送る場合の通信速度やテレビ画面の表示方法、視聴者がどこからアクセスしているかが分かる認証制度などの規格を統一する。放送局ごとに規格が異なると手間がかかりして普及しにくくなるからだ。

 ネット技術を使うと基本的には世界一斉に番組を流すことが可能だが、現在の放送法が県域免許制を原則としているため、放送波と同じく県単位の配信にする。視聴者がどこからネット放送にアクセスしたかを把握して視聴できる番組を制限し、居住している県以外の放送は視聴できないようにする。





 消費者(顧客)の視点というよりも放送業界の都合に合わせた規格のように思えます。
この規格が放送業界にとって本当にハッピーなのかよく考えてみる必要があるように思います。

 今の放送業はいわばコンテンツの百貨店のようものです。ニュースからドラマ、バラエティまでいろいろ取り揃え時間を区切って放送を続けています。
 それは、放送をするには膨大な費用をかけて設備を用意する必要があり、誰もが放送をすることなどできなかったからです。

 しかし、インターネット技術・環境の進化で放送という概念は大きく変わるように思います。
つまり百貨店や総合スーパーが専門店に苦しめられたように、放送コンテンツも専門化することが予想されます。そうなると、コンテンツ制作能力のあるところは、そのコンテンツを放送局を利用しなくてもネットで配信することができます。つまり商品を直販するようなものです。
 結局、放送局の価値は電波の上にコンテンツを流すことだったわけで、コンテンツを流すことがネットで簡単に誰でもできるとなると、競争力のあるコンテンツを作る能力のある人はコンテンツそのものでビジネスを始めようと考えるでしょう。

 そうなったとき、現状の方式で放送をしているところは、この地域限定での視聴方式が大きな足かせになるでしょう。つまり目先の権利を守るために、自分で自分の市場を狭くしていることになるからです。たとえば、北海道なら恵まれた豊な自然と、その自然に育まれたおいしい産物が数多くあります。北海道を紹介しながらこれらの産物を紹介することで世界中に販売することが可能になるわけです。放送を通じて地域活性ができることにもなります。しかし今回の統一規格では放送としてこのような新しいビジネスモデルは作れないことになります。

 ネットの世界では、日本だけで考えているととんでもないことになるということも考えておく必要があります。日本では統一規格ができましたが、世界のどこかでこのような規制がなく自由に放送ができるとなると、規制を逃れたい業者は事務所や従業員をまったく移転することなくサービスだけをその国に移動することになります。つまりネットの世界では国境はまったく意味をも持たないからです。

 これは米国の無料の動画投稿サイトであるYouTubeの日本からの利用を考えれば明らかといえます。日本のテレビ番組が日本からYouTubeに登録され、それを日本人が日本で視聴している。これがネットの威力です。

 日本だけの都合で考えられたネット上での放送における地域限定の代償は、結局放送事業者にとって大きなものになるような気がしてなりません。


posted by ネット社会の水先案内人 at 22:11| 静岡 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 放送と通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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