2006年07月02日

電子カルテ、共有容易に


 医療分野ではIT活用がおくれており、e−Japan戦略に続き、今年度からスタートしたIT新改革戦略でも、医療分野でのIT活用は重点戦略のなかでも重要な位置を占めています。

 なかでもカルテを電子化し、病院間で共有できれば無駄な診療や検査の重複を防ぐことができたり、診療結果の蓄積・分析が容易になったり、効率的な医療が促進されたりといった効果が期待されています。

 この7月中から名古屋市で実証事業を行うとのことです。

記事(日本経済新聞(2006.7.2)1面)には

 経済産業省は治療経過を電子データで記録する「電子カルテ」を複数の病院間で共有するためのシステムづくりに着手する。

医療機関がカルテを共有すると、緊急の際に主治医以外の医師の診察を受ける場合などにも過去の投薬・治療の履歴や検査結果などが分かるようになり、効率的な医療が可能になる。

第一弾として名古屋市の約30の医療機関で実証事業を展開。接続システムを標準化し、全国への普及を目指す。



 電子カルテは医療の効率化に寄与するが、これまでシステム会社別に仕様が異なるため相互接続が難しかった。

そこで、約340の医療システムを開発している会社が加盟する保健医療福祉情報システム工業会を中心に、病院外にデータを送るときの標準仕様を決める。

個人情報であるカルテが目的外に利用されないように、セキュリティルールも作る。

 7月から始める実証事業では、名古屋大学医学部付属病院を中核として、近隣の約30の医療機関の電子カルテシステムを相互接続する。まず緊急治療が必要な患者を対象にカルテ情報のやり取りをする。このほか退院間近の患者情報をリハビリセンターに送り、事前に適切なリハビリプログラムを組むなど受け入れ態勢を整えられるようにする。

 同時に東京港区の愛育病院や千葉県の亀田総合病院など4地域の医療機関で、地域内の10前後の産婦人科医院とシステムを連携し、流産リスクのある妊婦の情報を融通する。

 経済産業省は診療所や高度な専門技術を持つ大病院、リハビリセンターなど地域内の様々な医療機関が患者データを簡単にやり取りできるようにすることを目指す。
システムを標準化して使いやすくすることで、現在14%の電子カルテ普及率を早期に6割に引き上げたい考えだ。


とある。

 カルテが共有されることで、医療の質の向上につながったり、肝心の医療費の削減にもその効果が期待されると思われます。

 しかし、電子カルテを共有化すると言っても、技術面の課題と運用面の課題があるようです。

 記事では、システムベンダーが提供する電子カルテシステムの仕様の違いを取り上げて、この違いを標準化することで相互に患者情報がやり取りできるようにするという技術的な課題への対応について取り上げているように思われます。


 しかし、一番の課題は運用面での標準化ではないかと思われます。
病名一つとっても、病名登録機関があって認定するわけでなく、医師が自由に病名を付けることが出来るといった話を聞いたことがあります。また肝心のカルテに記入するべき内容に付いても、表現方法や記入すべき項目などは、個々の医師に任されると思われます。
 どの医師が見ても正しく理解できる電子カルテにしていくには、まだまだ大きなハードルがあるように思えます。しかし、このハードルは超えなければならいハードルでもあります。医療改革が進むかどうかは、この電子カルテが本当の意味で共有できかどうかに掛かっているように思います。


本日のその他の記事
・[試される司法]第二部揺らぐルール:デジタルの急速な進化に追いつけない、想定外続出。(1面)
・[読書:今を読み解く]ネット文明、参加の時代。(23面)
などがあった。


posted by ネット社会の水先案内人 at 11:36| 静岡 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
セカンドオピニオンで情報提供をしない医者が居る限りは難しい問題ですね。

情報提供をしない → 自分の診断に責任を持てない医者
ということで、選別されるかも知れませんが。
Posted by kossy at 2006年07月02日 17:08
kossyさん

 コメントありがとうございます。

 技術系の人間ほど自分の技術に誇りを持っているので
 セカンドオピニオンのように、情報を開示することで
 他の医者から厳しい指摘を受け、プライドを傷つけられるのは
 嫌なものでしょうね。
 そう考えると電子カルテは情報開示と同じですね。

 医学の質の向上や進歩のために、プライドを捨てられるか
 というと、難しいかもしれないですね。

 やはり仕組みやシステムは出来ても電子カルテの運用は
 本当に難しそうですね。
Posted by ブログオーナー at 2006年07月03日 09:23
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