モノから距離が離れていても情報を読むことが出来るICタグ、また複数のモノに付いている情報を一度に読むことが出来るICタグ。
まさに物流現場で働いている人々にとっても、効率的に仕事が出来るICタグであり、モノの移動が正確になり作業効率も向上するわけですから、経営サイドから見ても、コスト、品質、納期にメリットが生まれるICタグということができます。
ただまだICタグそのもののコストや設備負担が必要ですし、更にモノの情報をどこでどう活用するかについては、いろいろと試行している段階といえます。更に、最大の課題はモノに対してどのような情報をどのような形式で持たせるのかです。モノそれぞれに情報の持たせ方や意味が国やメーカーによって異なれば、効率化するはずの仕組みがかえって非効率な仕組みになる恐れがあるからです。
そこで国際貨物において共通ICタグを導入しようという動きがあるようです。
記事(日本経済新聞(2006.6.5)1面には
日本郵船、デンマーク、米の世界海運大手3社は年内にも、世界共通仕様のICタグを国際コンテナ貨物に導入する。米フェデラル・エクスプレスなども採用する方向で、各国の税関当局に対応機器の設置を要請する。
通関手続きなどを容易にして物流を効率化するとともに、テロ対策にも役立てる狙い。国際貨物の世界共通ICタグが実現する。ICタグの標準化団体「EPCグローバル」の会合で3社が共通ICタグ採用を表明した。
共通のICタグで貨物情報を管理できれば、荷主も自らの貨物が世界のどこにあるのか把握しやすい。港湾などでの荷物の確認も読み取り端末で瞬時にできる。税関で採用すれば、データ入力作業が速くなり、現在3日程度かかっている通関手続きが1日で済むようになるという。
さらにICタグとコンテナの開閉を記録する「電子錠」と呼ばれる技術を併用すれば、輸送上の危険物混入も防げる。
世界の海運物流は年間17百万個のコンテナを扱い、今回の大手3社で450万個と3割を占める。当面は日本、米国、香港間のコンテナでスタートし、そのご範囲を広げていく。
規格づくりには航空貨物のフェデックスや米UPS、独DHL、日本通運、米シュナイダーなども参加しており、国際物流での事実上の世界標準になる公算が大きい。
経産省は規格標準化を支援するため世界標準機構に働きかけ、各国税関にICタグ読み取り装置やネットワーク端末などの対応機器導入を促す考え。
とある。
今回の動きがきっかけで、貨物用のICタグについては標準化が進むことだろう。
標準化が出来るのと、出来ないのでは仕組み作りに大きな差が生じることとなるので、旨く標準化を進めて欲しい。ここでの標準化がICタグ全体の標準化にも影響を及ぼすかも知れない。
ICタグは、モノと人、モノとモノのコミュニケーションを可能にすることにつながる。その意味で標準化は共通言語を持つということができる。今後急速にICタグ普及のきっかけになるかも知れない。
本日のその他の記事
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( http://www.ghg-trade.com )。(3面)
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などがあった。