2005年12月19日

個人情報保護法がもたらす混乱。(顔なき社会(下))

 新聞などで顧客情報の漏洩などのニュースがひと頃に比べれば減ったが、やはり情報漏洩のニュースが報道されることがある。
今年の4月から個人情報保護法が完全施行となったことから、企業や市民にも個人情報に関する関心が高まり、行き過ぎの現象が現れているようだ。

 17日の土曜日から3日にわたり「顔の見えない社会」という特集記事でこのような問題が取り扱われてきた。今日は最終回なので少し触れてみたい。

記事(日本経済新聞(2005.12.19)1面)には

 ある銀行では、営業が持つ顧客の訪問予定表には、顧客名や満期日、満期金額などを暗号化して持ち歩く。携帯電話も一時は使用を禁止にしたが、今では毎日受発信履歴を消すという条件で持ち歩けるようにした。

 昨年元社員による個人情報持ち出し事件が起きたジャパネットタカタでは、プリンターを全て課長席の隣に置いた。記録媒体は保管場所を決めて厳重に管理。さらに個人情報保護をの重要性などを問題にした筆記試験も実施している。

 金融機関などでの二人一組のファックス送信やノート型パソコンの持ち出し禁止・・・・・・。金融機関などの企業にとっては日常風景だ。

 しかし、情報漏洩の防止策が会社員の仕事や組織運営に与えるマイナス面も無視できない。自宅に資料を持ち帰って仕事ができなくなったので帰宅時間が遅くなり、ベビーシッター代がかさむようになったり、研修後資料が回収されるので派遣社員の研修の復習などもできなくなっている。

慶応大病院では、電子カルテにすると簡単に情報をコピーし持ち出される恐れがあることから電子カルテを導入していない。導入するには更に安全対策の検討が必要になる。

 個人情報保護法は社会のIT化を進めるうえで、個人情報について守るべきことをルール化したものだ。保護法が情報化の足を引っ張っているとしたら、法がめざすものと逆行している。

 個人の権利保護と円滑な経済生活をどう両立させるか、改めて問われている。


とある。

 もう一度振り返ると1回目の17日は、
ある中学校の連絡網が関係のある6人分の名前しかしらされない。学校のホームページに載せる生徒の顔は、坂本竜馬の顔に摩り替えられる。町内会で災害に備えて高齢者や障害者の名簿を作りたいと考えるが、役立つ名簿ができるか心配している。人に家を訊ねられて、答えたら違法ですかと笑い話のような相談があったとか。地域のコミュニティの形成の妨げになり、よりご近所の人が分からなくなることを心配する。
 大切な個人情報を守りながら、地域の活力を維持し血の通った社会を築く・・・・。
一人ひとりにそのバランス感覚が求められる。


 2回目の18日は
個人情報保護の意識が政策決定に影響を及ぼすような統計情報の収集を妨げている。
保護法を機にプライバシーへの配慮が社会的に高まったことを評価する声は多い。その反面個人情報の過剰な防衛意識は、国の将来に係わる統計調査や学術調査を難しくしている。
 個人情報が持つ社会的な有用性をないがしろにすれば、国の基盤を揺るがしかねない。とあった。



 このように個人に関する情報は、地域社会、国の政策、経済活動にも結びついている。
情報漏洩事件があったり、キャッシュカードやクレジットカードの偽造、振り込め詐欺、迷惑メールや電話などの社会的な問題もあり、確かに個人情報に敏感になっている面があるかもしれない。

 安心を取り戻すには、それぞれの組織が情報の価値や意義を充分に認識し、大切に扱い安心できる仕組みをきっちりと築く以外に、この混乱は収まらないかもしれない。

さらに本人認証が確実に行える電子認証が普及すれば、相手をきっちりと確認できるので理想的な気もするが、住基カードのときの以上の騒ぎが起きそうな予感がする。結局は本当に困る事件が起きるまで行きつ戻りつしながら今の状態を続けるような感じがしないでもない。

つくづく難しい時代になったものだ。


本日のその他の記事
・松下や東大など20以上の企業・大学が共同で映像情報を含めインターネットから必要な情報を探し出す検索技術を開発する。グーグルなどに対抗し巻き返しを。(1面)
・[顔なき社会]経済活動に負の影響も。(1面)
・[メディア奔流:第4部放送大競争始まる]放送の規制緩和に向け総務大臣(竹中氏)が利用者の論理を前面に放送・通信融合の推進に動きだした。(9面)
・NEC、勘定系システム事業を見直し。地銀向けシステムの自社開発を凍結しNTTデータ陣営に合流へ。(9面)
・中国のメディア大手、地上波テレビを家庭向きIPテレビ放送を始めた。(9面)
・ヤフーとインデックス、消費者の評判参考に商品選び。(11面)
・調査会社のインフォプラントは中国、タイなどアジアの9カ国に進出する日本企業に情報提供を行う。(11面)
・IT関連書籍出版のインプレス・HDは電子書籍が短単に検索できるサイトを開設する。(11面)
・[メディア仕掛け人]リアルメデイア会長が検索連動型インターネット広告に関する需要を創造する。(11面)
・ブログ関連システム開発のレッドクルーズ、企業の宣伝写真をインターネット利用者に配信するサービスを始める。(11面)
などがあった。


posted by ネット社会の水先案内人 at 21:01| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日経新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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